ちよかふぇ便り
31 駐在所の思い出と「着物警察」
皆さまは着物をお召しになりますか?
わたくし着物が大好きで、20年ちょっと前の36歳のときについに着物を着るひとになりました。この5年ほどはほとんど着られていないし着物の仕事もやめてしまったけど、着物が好きな気持ちは変わることはありません!
このごろ、「警察」といえばネットで見かける「着物警察」という言葉ばかりだなあと思っていたら、ふと、こどものころの駐在所のことを思い出しました。
我が家の斜め向かいに駐在所があって、学校帰りによく寄り道をしていました。
若いおまわりさんと若い奥さんがいて、奥さんはわたくしたちの母親よりは少し若い世代。整った顔立ちで垢抜けていて、キラキラして見えました。たまに聞いたこともないようなカタカナの名前のお菓子が出てきてどこかの知らない世界を想像したり、当時の田舎の女の子たちにとってはワクワクする空間と時間。言ってしまえば知らない他人に近いのに、なぜか安心・安全な不思議な基地のような場所でした。
そんなことを思い出していたら、「着物警察」って言葉を使うせいで、着物がなんだか怖くて近寄りがたい雰囲気になってしまっているのかなと思い至りました。
「着物警察」というのは、他人の着物の着かたや取り合わせに対して“正しさ”や“理想”や“型通りの美しさ”を求めるひとたちのことを言っています。そのようすがあたかも取り締まりをしているようで、それで「着物警察」と、面白おかしく、ときに批判めいて使われているようです。
だけど、「着物駐在所」とか「着物交番」って言葉を選べば、世界は少し優しくよね。
昔々の駐在所のその奥さんは、いま思えばめっちゃウルサイ女の子たちをいつも笑顔で迎えてくれていました。自分が大人になってわかるのは、家事なんかもあって忙しかったでしょうに、一度も叱られたり帰宅を急かされたりした記憶もなく、ただあたたかな記憶として残っています。
そんなことを思い出したから、千代紙カフェはあのころの駐在所のように、着物の楽しさ・難しさの話し相手として、わからないところを気軽に聞ける相手として、持っている着物の知識と着物への想いを少しずつシェアしていけたらな、と思いました。
「着物警察」という言葉に、もう振り回されなくてすみそうです。
